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産業安全研究所特別研究報告 NIIS-SRR-NO.30(2004)の抄録

建設機械の保守管理システム高度化のための損傷評価技術の開発

ラチスジブ移動式クレーンの実働負荷測定
吉見雅行,吉久悦二,前田豊
 タワー式クローラクレーンのタワーおよびジブに作用する応力負荷について,動作別及び工事現場での測定を行なった.その結果,タワー,ジブ部の負荷の主たる変動要因は,クレーンの姿勢,つり荷の質量および旋回速度で,巻上,巻下時に生ずる衝撃荷重による応力変動は,回数は多いが,振幅は非常に小さい.高速な旋回動作によってタワー根元部に作用する動的負荷は姿勢変化による負荷に匹敵ることが考えられるため,負荷履歴の算定においては特別な注意を払う必要がある.負荷履歴の評価に過負荷防止装置を援用する場合,面外方向の負荷を測定できる機構を追加する必要がある等の結果を得た.(図14,表1,参考文献2)  

ラフテレーンクレーンブームの実働応力測定
吉久 悦二,吉見 雅行,前田 豊,佐々木哲也,本田  尚
 クレーン実機の疲労強度を評価するには,実働状態下での部材の応力変動の把握が重要であるが,移動式クレーンについては計測例が見あたらない.そこで,ラフテレーンクレーンブーム部について,動作別及び作業現場での応力測定を行った.その結果,動作速度が遅い時には,つり荷の質量やブームの姿勢変化が,応力変動を誘起する主因子であること,動作速度が高速になるにつれ,旋回動作に伴うブームの水平方向曲げ振動による応力変動が無視できなくなること,また,モーメントリミッタの出力を援用して,ブーム部の応力変動の推定を試みるには,水平方向のブーム曲げモーメントを計測する機構が必要なことが明らかになった.(図27,表3)

赤外線応力測定による非破壊評価の高精度化
本田 尚,吉久 悦二
 建設機械は,個々の機械によって使用中の負荷の大きさ・頻度が異なることから,使用状況に応じた検査間隔を導入することが望ましい.そのためには,損傷を確実に検出し,大きさを正確に評価することが求められる. そこで,赤外線応力測定法による非破壊検査の高度化を目的として,応力拡大係数範囲の精度を低下させている要因として,応力成分の高次項の影響を調査するとともに,数値演算を援用した評価法を開発した.また,赤外線法を円管やその溶接構造材に対しても適用が可能であるかを検討したところ,以下の結果が得られた.
(1) 高次項の影響を調査するために,測定値からハイブリッド展開法により応力拡大係数範囲を求めたところ,解析解に対して約10%低い値となり,高次項を考慮しても応力拡大係数の精度は向上しなかった.これは,き裂先端の塑性変形のために,高次項の影響が大きく現れたためである.
(2) 数値演算を援用した評価法を開発し,応力拡大係数範囲を評価したところ,解析解よりも大きくなり,安全側の評価となった.
(3) 赤外線法により,一様な円管の応力分布を計測したところ,荷重方向の応力は,円管の端部まで一様であり,赤外線法が曲面に対しても十分適用可能であることが分かった.
(4) 溶接試験体および模擬き裂試験体に赤外線法を適用したところ,溶接止端の応力集中および長さ4mmのき裂が検出され,円管でも非破壊検査が可能であることが分かった.
( 図17,表 1,参考文献16 )

クレーンブームのコーナー部溶接継手を模擬した
薄板溶接材の超音波探傷
吉久 悦二,本田  尚
 クレーンブームのコーナー部溶接継手の欠陥の検出,サイジングへのTOFD法の適用性を検討するため,継手を模擬した薄板溶接材について,TOFD法,横波斜角法,水浸法による探傷を行い,その比較行った.その結果,TOFD法は,欠陥検出能力で横波斜角法より劣る場合があるが,欠陥のサイジングにおいては,欠陥長さでは同等,欠陥高さでは優れていた.特に,表面疲労き裂の欠陥高さの測定結果は,より正確と考えられる,切り出し材に対する点焦点水浸法によるものとほぼ同程度であった.( 図21,表4,参考文献6)

ボルト接合部材の疲労損傷モニタリング技術の開発
佐々木哲也,本田 尚
 建設機械等のボルト接合部が疲労破壊することを防止するために,ボルト内に埋め込んだひずみゲージの出力で疲労損傷をモニタリングすることを試みた.せん断型ボルト継手試験片を用いて疲労試験を実施した結果,継手母材に発生した数センチ以上の疲労き裂であれば検出可能であることが示された.一方,フランジ型ボルト継手試験片に対して疲労試験を実施した結果,疲労によるボルトの破断は,当該ボルト内のひずみゲージ出力だけではなく,他の破断していないボルト内のひずみゲージ出力からも検知できることが明らかになった.(図10,写真3,表2,参考文献12)



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