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1. 産業安全研究所特別研究報告SRR-No.32の概要
安研ニュース VOL.30 No.1 2006[発行:平成18年2月25日]
 
 産業安全研究所では、平成13年度から16年度の4ヶ年で、プロジェクト研究「建設労働災害の発生原因としてのヒューマンエラー防止に関する研究」を実施した。本特別研究報告は、中間報告SRR-NO.28に続く最終報告である。
 建設業においては、他産業のように作業の自動化や機械化が困難であるため、工法や作業機械の改良は進展しても、多数の人間が直接作業に従事する「人間主体」といった特性が大きく変化することはない。その結果、正確性・信頼性・反復性等に関わる人間の本質的特性が直接的・間接的な災害原因となる可能性も高い。すなわち、労働集約型産業の典型である建設産業においては、他産業に比べ人間が直接作業に関わる比率が高く、その人間側の要因がヒューマンエラーにつながり、さらに災害原因を生み出すことになり易い。
 本研究は、ヒューマンエラーに起因する建設労働災害の防止に資することを目標に、4つのサブテーマからのアプローチを試みた。最終報告においては、これらの研究成果を以下の4編に纏めている。

1) 建設作業における不安全行動の発現とその防止対策に関する職位における意識の相違
 建設作業に従事する労働者を対象に、事故・不安全行動の発生やその対策に関する質問紙調査を行った。その結果、職位により回答パターンに違いが観察され、特に所長と作業員との間で大きな差がみられた。こうした意識の相違を理解し、それを解消し、安全への共通した認識を共有することが、優れた安全文化の構築につながり、ひいては作業現場の安全に結びつくものと考える。

2) 建設作業現場における安全情報の伝達に関する研究
 建設作業現場における情報伝達をその経路から「縦型」「横型」に、さらに情報伝達の型から「一方向型」「双方向型」に分類し、現場で行われる情報伝達場面の特性について検討した。さらに、新規入場者教育について、現状の教育の効果、効果的安全教育方法等に関する質問紙調査を実施し、その結果を踏まえ、新たな教育方法を提案した。

3) 掘削機の小型危険体験シミュレータの開発
 これまでに開発した研究用掘削機シミュレータをベースに、PCによって運用可能な危険体験シミュレータを開発した。従来のシミュレータを比べ大幅に小型化し車載による運搬を可能にしたことで、一般的な作業現場等においても、シミュレーションを活用した安全教育の実現を可能にするものである。

4) 安全教育における疑似的な危険体験の効果と課題
 現在、様々な形で疑似的な体験を取り入れた教育手法が展開されているが、体験そのものが重視される結果、不安全行動を助長する事態につながることが懸念される。本研究では、危険補償行動などに適切に対応しつつ教育効果を向上させるための疑似体験の位置づけ、及び教育課程における諸課題について検討した。


(境界領域・人間科学研究グループ・中村隆宏)
 
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安研ニュースNo.1目次

  1. 産業安全研究所特別研究報告SRR-NO.32の概要
2. 産業安全研究所特別研究報告SRR-NO.33の概要
3. 平成18年度産業安全研究所一般公開のお知らせ
4. 国際研究集会参加報告
5. 研究所の動き
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