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National Institute of Industrial Health

上肢における筋骨格系疾患の予防と診断に関する研究
−21世紀型への飛躍

有害性評価研究部長 平田 衛

この頃「オレオレ詐欺」などが横行していますが、銀行などの窓口では防止できた例は少なくないようです。窓口では職員が入力しますが、1960年代には入力作業などで上肢筋骨格系障害(=頸肩腕障害)が多発したそうです。私と共同研究者は、2003-4年度の間、厚生労働科学研究費補助金を受けて、標記の研究を行い、頸肩腕障害における検者・被験者の主観的要因が入りやすい自覚症状と筋の触診による従来の診断法を超えて、科学的根拠に基づく診断法を確立する目的で、肩・頸・腕の圧痛・硬結などの従来の健診方法と併せて、右肩の僧帽筋で筋組織内ヘモグロビン(酸素化Hb量、脱酸素化Hb量dO-Hb)を調べました。頸肩腕に筋硬結と圧痛を認める人では、上肢挙上の負荷によるdOHb変動量が大きく、診断に使用できることが示されました。

同様な目的で、頸肩腕障害に見られる神経症状の生理学的な根拠を調べ、末梢神経系では神経伝導機能の低下の直接的な根拠は認められませんでしたが、中枢神経系では患者の高次脳機能検査の所見から患者における認知・記憶機能の低下を示唆され、症状には根拠があると考えられました。

頸肩腕障害における寒冷の関与をより明確にする目的で、寒冷にばく露される労働者に夏・冬の2回自記式質問紙調査をおこない、寒冷曝露は頸肩腕の自覚症状に影響を及ぼし、自覚症状調査を反復して健康状態を監視する必要が示唆されました。

この研究により、頸肩腕障害における科学的根拠に基づく予防と診断のスタートラインをようやく確立し、20世紀初頭のKlempererのスタイルから21世紀型に転換し得ましたが、さらに欧州諸国を追い越す発展を期したいものです。(*^_^*)

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