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National Institute of Industrial Health

ストレスを感じる人と感じない人の差はどこにあるのか?

作業条件適応研究部  大塚泰正

ある日、あなたの上司から、「今度の会議では君に説明を担当してもらうよ」と言われたとします。皆さんはどのように感じて、どんなことをするでしょうか? ある人は、「それは大変だ」と感じて、一生懸命説明のための資料作りに励むかもしれません。またある人は、「ああ、いつものことだ」と感じて、とりあえず目の前にある他の仕事に取り組み続けるかもしれません。人間は、同じ環境や状況に置かれても、それをどのように認知するかによって、ストレスを感じたり、感じなかったりするのです。


人間が物事を認知するときには、いろいろなものから影響を受けます。例えば、説明する内容についての知識の有無、会議に参加する人々の顔ぶれ、今までの説明経験の有無、自身の性格などです。人間の認知と行動には深い関係がありますので、認知が多様であれば、当然ながら要求に対する取り組み方も多様になります。心理学の分野では、ラザラスという研究者が、この認知と行動の連鎖に注目して、図のようなストレスモデルを考えています。ラザラスによれば、心理的負荷を与える可能性のある刺激(潜在的ストレッサー)を体験すると、人間はそれが自分にとって負荷がかかるかどうかを主観的に判断することになります。この過程は認知的評定と呼ばれ、もしその人がその刺激をストレスフルだと認知すれば、「困った」、「どうしよう」といった嫌な気持ち(急性ストレス反応)が生じます。このような嫌な気持ちが発生すると、人間はその嫌な気持ちを何とか解決しようと様々なことをします。このときの解決方法にも、「残業してでも早めに準備を終わらせよう」、「酒でも飲んで気を紛らわせよう」など、様々な種類があります。この過程をラザラスはコーピングと呼び、成功すれば人間はそのストレスを乗り越えることができます。しかし、うまく解決に至らないときには、毎日憂うつな気持ちになったり、休みが増えたり、時には種々の疾患の発症に繋がったりすることもあります。

 ストレスの素はどこにでもあります。しかし、自分の心持ち一つで何とかなることも実は結構あるのです。

図 心理学的ストレスモデル



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