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非定常作業の個人ばく露濃度測定
作業環境計測研究部 主任研究官
菅野 誠一郎
工場内では、連続的に行われる生産作業のほかに保守点検作業、準備作業、サンプリング作業など短時間作業が行われています。このような作業でのばく露濃度を測定するためには個人サンプラによる測定が有効と考えられますが、有害物の発生源近傍での作業が多く、濃度の時間的、空間的な変動が大きいため個人サンプラによる測定ではサンプラの取付け位置により測定値が異なる可能性があります。通常はサンプラを胸元または襟元に取り付けて測定を行いますが、これが口元の濃度とどの程度異なるかを、ダミーを用いて実験的に測定しました。
ダミーを一定の気流があるプッシュプル換気装置と同等の実験室の中に設置し、その両胸、両襟、及び口元、両耳脇に拡散型個人サンプラを取り付け、エタノールを入れたシャーレを蒸気発生源としてその前に置き、ばく露濃度を測定しました。また室内の定点の濃度を同時に測定しました。測定時に、ダミーには作業者の模擬動作として水平方向の回転運動(およそ30度)または、腰部を中心とし上体の曲げ動作(およそ20度)を繰り返し行わせました。
蒸気発生源と作業者の間に測定点を設定することは現実には不可能ですので、作業環境測定のような定点測定の平均値はばく露濃度よりも常に低くなり、定点測定によりばく露濃度を推定することは困難なことがわかりました。また、ダミーの口元と両耳脇及び口元と胸及び襟の平均濃度比を比較すると、口元/両耳脇は、平均1.3、最大2.1、最小0.62、口元/(襟+胸)は、平均0.8、最大10、最小0.1であり、両耳脇にサンプラを取り付けるとばく露濃度に近い測定結果が得られることがわかりました。一方、発生源から5m離れた場合は、取付け位置による測定値の違いはあまり無いこともわかりました。実際の塗装、洗浄作業の測定でも同様の結果が得られています。
結論として、有機溶剤等を直接取り扱うなど有害物の発生源近傍の作業でのばく露濃度の測定では、個人サンプラの取付け位置による測定値の違いが大きく、胸元や襟元にサンプラを取り付けた場合、実際のばく露濃度と大きく異なる可能性があることがわかりました。両耳脇(写真)にサンプラを取り付けその平均値を測定すると、その測定値は口元の測定値の1/2から2倍程度であり、胸や襟の測定値よりばく露濃度に近い測定値を得ることができます。
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