ブラジルとの国際協力
人間工学特性研究部 主任研究官 岩崎 毅
ブラジルは1500年4月22日、ポルトガル人ペドロ・カブラルによって発見されました。国土面積は日本の約23倍の851万km2であり、人口は約1億5千万人に達しています。現在ブラジルでは、産業の工業化が急速に進みつつあり、職場環境における労働者の衛生と健康が社会問題として深刻化しているのが現状のようであります。
日本政府の協力により、1995年に開始されたブラジル労働衛生科学技術支援ミニプロジェクトは、今年8月で終了です。このプロジェクトでは、オズワルドクルス財団労働衛生人間生態学研究センター(CESTEH/ENSP/FIOCRUZ)を対象として、日本の労働衛生管理技術の移転や研究基盤整備などが実施されいます。この中で産医研では、作業環境改善手法に関しての技術移転を担当し、このプロジェクトの期間中、研究員を2回にわたり派遣する一方、ブラジルからの研修員を受け入れました。
ブラジルでは、作業環境改善の技術者がほとんどいないことから、作業現場の工学的対策もかなり立ち遅れているようです。
そこで、第1回目(1997.4)の派遣では、作業環境改善の基礎から応用と実施例などに関しての講義とかセミナーを通して技術移転をしました。また実務指導として、6事業所の作業環境改善の実態把握調査を行い、排気効果の高い工学的作業環境改善方法に関しても技術移転をしました。
第2回目(1998.4)の派遣では、研究基盤整備として、作業環境改善方法の中で最も多く作業現場に用いられている局所排気装置のモデルを研究センターの実験室に設置しました。そして、このモデルを使っての実務指導(写真)と8事業所、特にバッテリー工場の作業環境改善対策に関するモデル設計も行いました。
今後、この局所排気装置のモデルは、安全衛生に携わっている技術者らの育成に寄与すると共に、作業環境改善の工学的対策に係わる基礎研究や作業現場に適用できる応用研究に役立ち、ブラジルにおける労働者の職業病予防に貢献するものと考えています。
|