独立行政法人産業安全研究所 と独立行政法人産業医学総合研究所は平成18年4月1日をもって統合し,独立行政法人労働安全衛生総合研究所となりました。
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National Institute of Industrial Health

防じんマスクの性能評価に関する研究

人間工学特性研究部  明星 敏彦

(みょうじょう としひこ)

 個人用呼吸保護具は有害物質の発生する作業環境で広く使用されています。呼吸用保護具の中で防じんマスクと防毒マスクは労働省が労働安全衛生法第42条の規定に基づく規格で型式検定を行っています。現在、当研究所においてこの規格を満足するか、その性能評価を行っています。

防じんマスクの性能

 防じんマスクは粉じん障害防止規則などで規制の対象となっている鉱物性粉じんや金属粉じんに対して使用することを想定しており、面体、ろ過材(フィルター)、吸気弁、排気弁、しめひもなどの部品から構成されます。
防じんマスクのろ過材であるフィルターは手に取るとフェルトや紙のように見えます。フィルター内では繊維の体積は全体の数パーセントであり、非常に空隙に富んでいます。その各繊維周りを気流とともに通過する粒子は慣性衝突、ブラウン拡散、さえぎり効果、重力沈降、静電気沈着などにより繊維の表面に捕集されます。これらの捕集効果の一番及ばない粒子径は0.1〜0.3 μmであり、より小さな粒子も、またより大きな粒子もそれに比べれば捕集することは容易です。フィルターは構成する繊維の一本、一本の粒子捕集の積み上げにより粉じんを除去するので、捕集効率は層の厚みとともに指数的に増加します。一方、通気抵抗は層厚みに比例して増加します。
現在、2μm以下の粒径のシリカ粉じんを試験用粉じんとして毎分 30Lの流量でマスクに通した場合に 95%以上のろ過捕集効率を持つことと毎分 40Lの流量で通気した場合 8mm水柱以下の通気抵抗を持つことが規格により求められております。したがって、各メーカーは通気抵抗の上限以下で最良のろ過材の開発に努めています。

防じんマスクの性能評価法の将来

 産業の変化に伴い溶接ヒュームなど鉱物性粉じんより小さな粒子からなる粉じんに暴露されるケースも多くなってきています。試験用粉じんを現行のシリカ粉じんから食塩粒子やオイルミストなどより小さい粒子からなる粉じんに置き換え、より厳密なろ過捕集性能試験に移行する準備を行っています。実験的に食塩粒子を発生し、これを用いて検定合格の防じんマスクの性能を測定した結果の一例が図−1です。この食塩粒子の平均径はシリカ粉じんの約十分の一にあたる0.1μmです。ここでは8社の16型式のフィルターについて性能を漏れ率で示してあります。漏れ率=100−ろ過効率(%)の関係になっています。フィルターの捕集原理により静電気捕集型と機械捕集型がありますが、現在の方法と微細な食塩粒子を用いた場合ではかなりの相関関係で7から10倍漏れ率が上昇することがわかります。これは現在表示されているろ過効率99%が将来同一製品でも90%となるかもしれないということです。実際米国や欧州ではこのような規格が走り始めています。

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