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National Institute of Industrial Health

長時間労働の健康影響

作業条件適応研究部  岩崎健二

 長時間労働は循環器疾患等の健康障害の悪化要因であることが指摘されているが、長時間労働者の作業管理(労働時間管理)・健康管理は、十分裏付けのある基準がないこともあって、現在のところ十分ではない。筆者らのグループでは、平成7年度から、長時間労働者の衛生管理の目安作りを目的として、客観的な生体指標を用いた長時間労働の生体影響の調査を行っている。今回は、調査結果のいくつかを紹介する。
1.睡眠時間の減少
 図1はB社技術開発職場の調査データであるが、労働時間(注1)が長くなると共に睡眠時間は減少していた。週労働時間70時間以上の群では、平均睡眠時間は5.9時間であった。
2.尿中ノルアドレナリン(NA)の低下
 図1と同じ調査では、労働時間が長くなると午後仕事中(2時間)の尿中NAが減少する傾向があり、長時間労働者では仕事中の交感神経活動が減少していることが示唆された。
3.血中デヒドロエピアンドロステロン硫酸(DHEA-S)の低下
 C社技術開発職場の調査では、長い労働時間は睡眠時間の減少を伴い、睡眠時間6時間未満の群では6時間以上の2群に比して、副腎皮質ホルモンの1つであるDHEA-Sの血中濃度が低かった(図2)。
4.適正な労働時間は?
 今までの調査結果から筆者は、長時間労働は睡眠時間の減少を介して、自律神経・内分泌等の基本的な生体機能の変化を引き起こすのではないかと推測している。筆者らの睡眠時間、尿中ノルアドレナリン、血中副腎皮質ホルモンのデータから考えると、技術開発職場の場合、労働時間が週70時間前後から生体機能の変化が大きくなるのではと考えられる。勿論この値は、年齢・健康状態・家庭的責任の重さなどの条件にも関係するであろう。今後更に検討を重ねたい。

(注1)本研究では、通勤は労働の半分の負担と仮定し、労働時間として“在社時間+片道通勤時間”を、週当りで算出している。

図1:労働時間と睡眠時間


図2:睡眠時間と副腎皮質ホルモン

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