作業環境におけるダイオキシン類ばく露の
生体影響に関する研究
作業条件適応研究部 小川 康恭
塩素化ダイオキシン類は産業活動に伴い非意図的に発生するものであり、その生体影響は、発ガンのみならず、いわゆる内分泌かく乱作用といわれている生殖系への影響、免疫系への影響、さらには神経系への影響等幅広いものです。そのため、現在ダイオキシン類による健康問題が社会的に注目されています。ダイオキシン類は燃焼を伴う状況で発生しそこから環境へ拡散し環境中に低濃度で分布します。しかし、化学的に安定であるため遠隔部位への移動及び環境への蓄積が起こります。そのうえ、食物連鎖の中で濃縮を受け食物を介してヒトが比較的高濃度のばく露を受けることになります。すなわち、高濃度のダイオキシン類が存在するところは、一方が発生源であり、他方が食物連鎖の頂点にいるほ乳類と考えられます。人間にとって主となるばく露源はこの2つです。日本における主要な発生源は廃棄物燃焼炉であると考えられており、労働衛生の観点からは廃棄物燃焼炉で作業に従事している労働者へのダイオキシン類ばく露とその健康影響が重要となります。
本研究は次の2つの研究計画に沿って進められています。1)ダイオキシン類の毒性として注目されている発ガン性、生殖毒性、免疫毒性及び神経毒性に関連する生体影響を特異的に検出できる分子生物学的、生化学的、もしくは神経行動学的指標を明らかにし、それらを使った生体影響モニタリング法を開発すること、2)ダイオキシン類発生職場で働いている労働者集団を疫学的に検討することによりダイオキシン類ばく露による健康障害の有無を把握することです。
現在、清掃工場労働者集団の健康影響調査を進めていますが、気分の状態や酸化的DNA障害等の指標が有効であることが分かってきました。韓国における調査の話しも進んでいます。また疫学研究の対象となる集団の確保も進み、今後の追跡調査により死亡率、がん発生率、子供の性比等に対する影響を評価できることが期待されます。
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