ディーゼル排出粒子の簡易測定法の開発
作業環境計測研究部 小野 真理子
ディーゼルエンジンは燃費が良く大きな出力が得られることから、19世紀末に開発されて以来、大型トラックや建設機器等に広く用いられて来ました。ディーゼルエンジンからの排出物について見ますと、一酸化炭素や炭化水素の排出量はガソリンエンジンに比べると低いのですが、窒素酸化物と粒子状物質の排出量が高いことから、ディーゼルエンジンの一般環境への影響が大きいことが危惧されています。例えば、東京都がディーゼルトラックに対する規制を強化したことは大きなニュースになりました。
ディーゼルエンジンからの排出物のうち、黒い煙が目に見えることもあってよく問題になるのは粒子状物質ですが、下の図のような形状になっています。炭化水素を含んだ排気ガスに浮いた形で、炭素の核でできたとても小さな粒子が繋がって出て来ます。その小さな粒子の一塊りがおおよそ0.1〜0.5μmと大変小さなものです。その表面には炭化水素や、軽油に含まれる硫黄や金属が燃焼してできた硫酸塩や金属酸化物がくっついて(吸着して)います。成分はおおよそ40%が元素状炭素、30%が主に炭化水素からなる有機化合物、その他が30%となります。その有機化合物の中には発ガン性があると言われている多環芳香族炭化水素が含まれており、1gの粒子について1千万分の1g程度あります。小さな粒子に数千種類と言われる有機化合物が吸着しているので、ディーゼル排出粒子について調べる時には、重さを測定するのも、成分を分析するのも大変困難で、何日という時間を要します。
ディーゼルエンジンの排出粒子がある空間にどのくらいあるのかを知りたい場合に、少しでも速く情報を入手するために、私達のグループではディーゼル排出粒子表面の有機化合物の迅速な測定法として、ガスクロマトグラフ/質量分析計を使用した方法を開発しています。また、米国の労働衛生現場で使用されている、粒子の約4割をしめる元素状炭素の値を指標とする方法がどの程度有効であるかについても検討を進めたいと考えています。
図 ディーゼル排出粒子の構造の模式図
|