独立行政法人産業安全研究所 と独立行政法人産業医学総合研究所は平成18年4月1日をもって統合し,独立行政法人労働安全衛生総合研究所となりました。
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独立行政法人 産業医学総合研究所
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National Institute of Industrial Health

高年齢労働者

福田秀樹・澤田晋一

 わが国は世界で類をみない速度で少子・高齢社会が進展しており,今後は高年齢労働者の雇用が増えると見込まれています。しかし,近年の労働環境と労働態様が産業技術や情報技術の革新、経済の国際化と競争激化、企業の合理化等によって急速に変化していることを考慮すると,高年齢労働者の増加に対し,何らかの労働衛生上の対策を講じる必要があると思われます。というのは,高年齢労働者にあっては,もともと精神・身体の諸機能の老化により健康診断の有所見率や労働災害の発生率が高率です。その上に労働環境や労働態様の変化に伴って職業性ストレスが強まってくるのですから,循環器疾患や神経・筋骨格系障害を一層引起しやすく,労働災害も増加させるかもしれないからです。
 このようなことが起る可能性が最も大きい作業の一つとして,わたしたちは土木建設業や電気通信業などの屋外作業を考えています。これらの作業現場では、多くの中高年齢労働者が屋外気象の変動による暑熱や寒冷ストレスにさらされています。高年齢者では温熱ストレスに対する適応能力が減退しているので,熱中症や低体温症だけでなく,循環器疾患や神経・筋疾患といった加齢性疾患のリスクをも増悪させる可能性があるでしょう。
 このように考えていくと,高年齢労働者の作業様態の変貌や作業温熱環境のもたらす職業性ストレスを予防し、健康で快適に働ける作業環境条件の設定に係わる研究が重要になってきます。そこで、私たちは,平成15年度から3年間,つぎの三つの側面から調査研究を実施することにしました。一つめは,業務上疾病の発生状況の分析です。この分析は,わが国の業務上疾病統計の原資料である労働者死傷病報告データベースの構築(平成7年〜10年までの約30,000件、じん肺及びじん肺合併症を除く)を行い,高年齢労働者の業務上疾病の発生状況と疾病発生のストレス要因を解明し、高年齢労働者の業務上疾病の発生予防に役立てようというものです。二つめは,高年齢労働者の様々な機器操作に伴うストレス反応に関する研究と機器操作作業の実態調査を行い,機器操作に伴うストレス要因を明らかにすることができればと考えています。高年齢労働者を考慮した作業条件設定に役立てるためです。三つめは,暑熱・寒冷作業環境下での高年齢労働者の健康障害の発生状況とストレス反応の実態調査です。それから高年齢労働者の暑熱・寒冷曝露時の温熱ストレス反応の特性評価実験です。このような研究から,温熱ストレスの防護対策の有効性が検証でき,高年齢労働者にとって望ましい作業−休憩スケジュールや防暑・防寒作業服の選択基準等の具体的な作業管理指針を提案することができると考えています。最終的には,これらの研究の結果を総合し、高年齢労働者の職業性ストレス予防対策を実践的マニュアルとして提案することを目指しています。

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