夏バテ対策
産業医学総合研究所 澤田晋一
夏になると体の不調を訴える人が多くなる。体が重くだるい、食欲がなくなる、下痢が治らない、目まいや頭痛が続く・・・。こういった夏の暑さからくる不定愁訴(明確な原因がないのに体の不調を訴えること)や身体症状を総称して夏バテという。
原因は日本特有の高温多湿の気候だ。体温調節障害、多量の発汗からくる脱水、食欲不振からくる栄養障害、熱帯夜の睡眠不足など、さまざまな要素が絡まりあい、夏バテとなる。
代表的なのは胃腸の障害だ。高温になると消化器の血流が少なくなる。また、汗を大量にかくと体内の塩分が不足して胃酸も減る。これらの理由から消化機能が落ちているところに、冷たい水やビールをがぶ飲みすると、胃をこわしたり下痢をおこしたりする。
暑さで弱っている胃腸にさらなる負担となる暴飲暴食や氷・冷水の取り過ぎは禁物。大量に汗をかいた時には適度に冷やした食塩水(濃度0.1〜0.2%)やスポーツドリンクで、水分と塩分の補給をしておきたい。
ビタミンも不足する
暑い中での労働や運動は、通常よりもカロリーやビタミンの消費が多くなる。これに下痢や食欲不振が重なると、体調不良はさらに長引く。
気をつけたいのはビタミン不足様症状。例えばビタミンB1不足。膝から足首までの下腿が特にだるくなり軽いむくみが出たりする。外食が多い人は市販のビタミン製剤でB群を補給することをお勧めする。
夏バテのもう1つの大きな原因が睡眠不足だ。熱帯夜などで睡眠が不十分だと、疲労が蓄積して自律神経系の調節機能が働かなくなってくる。その結果、だるさや肩凝りなど体にさまざまな不調が表れる。
暑さで眠れない夜は、寝入りばなだけでも冷房を利かせることは効果的だ。しかし、体が冷えすぎる危険性もあり、長時間の連続運転は禁物だ。
では、夏バテをしない体を作ることは可能だろうか。人間の体温調節機能の代表的なものは発汗。普段から定期的に汗を流す運動をしておくことで、酷暑でも夏バテしない体を作ることができる。オフィス勤務が多く、休日も運動しない人は、ジムなどで夏本番の前に汗をかく練習をしておきたい。
冷房病にも注意
最後に、もう1つの夏バテ、冷房病についても触れておく。冷房が強すぎたり、冷房が利いた屋内と暑い屋外を頻繁に出入りする職場にいる人が、さまざまな不定愁訴に悩まされることがある。これは夏の高温気候に体が適応しようとしているのに、冷房が過度にあるいは断続的に体を強制冷却するため、体温調節にかかわる自律神経系の働きが狂ってしまうことで起こる。
オフィスの室温は原則として摂氏25度よりは下げず、外気温との差を5度以内にするのが望ましい。しかし、この設定温度内でも涼しすぎると感じる人(特に女性)もおり、必要に応じてひざ掛けや上着などで“保温”する工夫も必要だ。(澤田 晋一)
|