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独立行政法人 産業医学総合研究所
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National Institute of Industrial Health

作業環境中有害物濃度の連続測定による
二次元可視化システムの開発とその応用

作業環境計測研究部  芹田富美雄・神山 宣彦

 作業環境では産業の多様化に伴って多種類の物質が取り扱われていて、その上その種類はますます増加の一途をたどっています。これらの極めて多種類の物質の中には、有害性が指摘されたり、あるいは有害性が疑われている数多くの物質があります。さらに有害性の不明な物質も増加しています。このような状況の中で、これらの多様な物質を取り扱っている作業者の健康を守るために的確な作業環境管理を行う必要があり、また法律によりその実施が規定されているところでもあります。  現行のバッチ式の作業環境測定の結果を利用した作業環境管理では、作業環境の現在の状況や、時間とともに変化する様子を知ることはできません。最近は、他品種少量製造を行うなど、短時間に作業内容が変わり、それに伴って有害物の発生状況がめまぐるしく変化する作業形態が増えつつあります。このような作業形態に於いても的確な作業環境管理を行うために、時間とともに変化する作業場の有害物濃度をリアルタイムに把握することが重要になります。この研究ではコンピュータ画面上に“作業場の地図に重ねた有害物濃度の等高線図”を時間を追って描き出します。そのために作業場に複数の測定点を設定(例えば、粉塵計を碁盤目状に複数台配置)し、連続測定を行います。一定時間毎に一斉に濃度情報を収集し、これをパソコンで処理して濃度の等高線図として表示させ、時間を追って変化する二次元映像として作業環境の有害物の状況を表示します。また、これに作業者の行動パターンを重ね合せれば、個人ばく露量の推定ができると考えています。  例えば、「作業場の有害物濃度を低減させるために局所排気装置の改修を実施した」「新しい製造ラインを設定した」ようなとき、この方法によって得られる“時間を追って変化する二次元映像”を見ることで、有害物の移動や濃度変化などの状況をその場で把握でき、局排の効果や有害物の発生の様子を知ることができます。これは、作業者が有害物にばく露する機会をなくしたり、その量を低減するための有効な情報となり、環境改善が一層効果的に進められると考えられます。また、この作業場で働く作業者にとっては、自分たちの働いている作業場における有害物の分布や濃度をリアルタイムにかつ視覚から直感的に把握できるので、積極的な防護行動をとるための有効な情報となるでしょう。  有害性が疑われる多くの物質がある作業環境で働く作業者の健康障害防止のためには、現行の作業環境管理で行われている以上にきめ細かな作業環境の把握とその対策が不可欠になります。また、作業者自身が自分の身を守る意識を高めることも、より重要性を増してくるでしょう。こうした状況に役立つ研究成果となるよう努力しています。

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