独立行政法人産業安全研究所 と独立行政法人産業医学総合研究所は平成18年4月1日をもって統合し,独立行政法人労働安全衛生総合研究所となりました。
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National Institute of Industrial Health

最近の振動課題について

人間工学特性研究部  米川善晴

 人体に係わる振動の分野では通常、手腕振動と全身振動に分けて取り扱っている。手腕振動は振動障害(白ろう病等)で知られているように、人の手腕に負荷される振動をいう。職場では主に手持動力工具からの振動が対象となる。全身振動は身体全身が曝され、作業環境では乗物、産業機械、重機等から運転手に与えられる振動で、一般環境では道路、鉄道、建設現場近くに発生する振動をいう。
 当研究室における最近のトピックスは、全身振動に対する人の振動感覚実験を進めている。特に振動感覚の閾値(振動を感じる境界値)を求める実験で、振動台上に人が立位、座位、臥位の姿勢でのり、各姿勢で振動感覚閾値を求める。結果は振動が与えられている面積が広くなるに従い振動感覚閾値が下がる、即ち敏感になる傾向が伺えた、被験者の数が少ないので多数の実験を実施予定です。この研究は全身振動の報告が少ないのでまず人の正弦振動に対する感覚反応から進め、人の振動伝達反応、さらに作業環境の振動に対する反応、振動測定方法の確立、防振技術開発等の一連の研究の初めの段階である。
 この人体に係わる振動の分野で国内外において進められている課題を挙げて説明する。
1.手腕振動:
○ 許容基準; 振動の許容限界に相当するものが国際基準(ISO規格)ではあるが、国内では統一した基準はない。昭和52年労働省の告示でチェンソーの規格はあるが他の工具に対してはない。日本産業衛生学会で許容基準が提案されており来年には決まる予定です。学会の基準故、影響力は小さいのでこれを基に将来国としての基準を設ける必要がある。
○ 振動感覚測定装置; 振動障害の診断において振動感覚閾値が診断項目の一つになっている。この装置の規格が現在ISOで審議中である(ISO/DIS13091-1)。現在日本ではこの装置に相当する測定器があり使われているが、仕様、精度等の点で国際規格とは異なっている。国際標準化に伴い将来は整合をとる必要がある。
○ 防振保護具; 防振保護具(防振手袋)は市販されている。この保護具の性能検査のJIS規格(JIST8114)が策定されているが、現在この規格に適合する装置は存在していないので実務ができない。この保護具についてもISO規格が進められており、2種類の方法が提案されている。このうち廉価で簡便な方法が実用化できると考えられるので今のJIS規格を改訂する場合に参考資料となる。
2.全身振動:
全身振動については、現場があるにも関わらず対象業務、対象機械、振動量、人の反応防振技術の開発等の検討がなされていない。
○ 測定・評価規格;これはISO2631-1(1997)にISO規格として定められた。国内ではこの規格に相当するものはない。この規格の評価の個所で人の反応に脊柱障害を指標に採用している点が注目される。これは作業環境における重機等の運転手が関係してくる。この規格の翻訳は日本規格協会からTR(TRZ0006技術報告書)として出されている。この内容に基づいて全身振動の測定装置に関するJIS規格策定の作業が始まっている。
○ 全身振動の実態調査;鉄道、トラックなどの乗り物、ブルドーザ等の重機、フォークリフト等産業機械の振動の大きさ、暴露時間、普及数などの実態調査をする必要がある。

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