独立行政法人産業安全研究所 と独立行政法人産業医学総合研究所は平成18年4月1日をもって統合し,独立行政法人労働安全衛生総合研究所となりました。
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National Institute of Industrial Health

より良い午睡とは

作業条件適応研究部  研究員 高橋正也

 多様な交代制勤務、変形労働時間制など、勤務体制をめぐる状況は近年、大きく変化しています。勤務体制の変化とそれに伴う労働者の健康・安全の問題は、産医研にとって重要な研究課題の一つです。私どもは“睡眠・覚醒”という視点から、この研究を進めています。今回は、午後の仮眠、すなわち午睡についての研究内容をご紹介します。
 お昼を過ぎたあたりに眠くなることはないでしょうか。実際に、眠気の程度を時刻別に調べると、午後の始めにそのピークがあります(図)。もちろん、夜のピークよりも小さいですが、興味深いのは午後の始めに交通事故も増えることです。交通事故をはじめ、ヒューマンエラー、産業事故など、眠気に関連した損失は決して無視できないので、なんらかの対策が求められます。その一つとして、私どもは午睡に注目しました。夜勤中の仮眠は眠気や疲労感の低下、作業能率の改善に役立つことが知られています。また、電車の座席でひと眠りすると、頭がすっきりすることもあります。
 今回の実験では、昼食後に15分の午睡を取る群、45分の午睡を取る群、眠らずに起きている群をもうけて、午睡前後にさまざまな測定を行いました。その結果、与えられた刺激に対する被験者の脳波の反応は、15分の午睡後に最も良くなりました。眠気の程度は午睡の長さにかかわらず、午睡を取ると低下しました。模擬作業の結果をみると、15分の午睡後では他の2群よりも、作業の誤りが若干減少しました。睡眠ポリグラフという方法を用いて午睡の深さを客観的に調べると、15分の午睡では浅い睡眠だけでしたが、45分の午睡では深い睡眠にまで達していました。
 以上の結果から、高々15分の午睡でも、その後の目覚め度や作業の質を改善させることがわかります。また、午睡は長く取れば必ずしも良いわけではないことも、45分の午睡の結果からいえます。この場合、深く眠ったために、身体は起きたにもかかわらず、脳はまだ、ねぼけていることによると考えられます。学生ボランティアを中心とした今回の被験者は、実験の前夜に睡眠を十分に取っています。もし、前夜の睡眠が十分ではなかったら、どのような結果になるかは興味のあるところで、次の研究テーマです。15分の午睡は現実の職場でも取れそうに思えます。しかし、午睡のスペース、職場のモラル、心理的な抵抗感などの要因から、実現は難しいかもしれません。いずれにしても、午睡は取り方次第で望ましい結果をもたらすといえるでしょう。

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