独立行政法人産業安全研究所 と独立行政法人産業医学総合研究所は平成18年4月1日をもって統合し,独立行政法人労働安全衛生総合研究所となりました。
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有害性評価研究部は、職場環境に存在する有害性の確定していない化学物質や物理的因子の有害性を評価・予測するための調査・研究、職業性の傷病と職場の生活習慣病の疫学的および統計学的調査・研究、および有害因子の人体に対する許容度に関する調査・研究を行っています。研究内容は、全国各地で労働災害が発生した場合に緊急に必要となる行政上の原因究明調査(災害調査)、ダイオキシンや環境ホルモンなどの遺伝子・次世代影響、アスベスト関連物質や電磁場などによる発がん、職場の生活習慣病(作業関連疾患)などであり、労働衛生上緊急かつ重要な課題について重点的に研究を行っています。
有害性評価研究部は健康影響調査の面から厚生労働省労働基準局の災害調査に協力しています。また、疫学研究により、職業がんなど古典的な課題から、焼却作業でのダイオキシンばく露や有機溶剤の生殖毒性、化学物質過敏症などの新しい課題に至るまで、社会的に重要かつ緊急な労働衛生課題の原因解明に立ち向かっています。
職場でのダイオキシンばく露に
関心が集まっています
業務上疾病資料のデータベース
国内で発生した業務上疾病事例をデータベース化して、腰痛や異常温度条件による疾病などさまざまな業務上疾病の発生要因に関する統計的分析を行っています。また、疾病事例の発生状況と原因について疾病予防の観点から詳細な検討を実施しています。
内分泌かく乱化学物質による遺伝子機能への影響が注目を集めたのに伴い、労働衛生分野でも産業化学物質による遺伝子影響を的確に把握する必要性が認識されてきています。しかし化学物質の数が極めて多いため、遺伝子への影響を迅速かつ正確に把握することは、重要ですが困難な課題でもあります。そこで大量処理、分析を可能にする先端技術(DNAマイクロアレイによる遺伝子発現パターン分析や、高効率レポーターアッセイなど)を導入し、この課題を解決すべく研究を進めています。さらに、各々の化学物質が遺伝子への作用を通して、どのようなメカニズムで健康に影響するのかを解明するための研究も同時に進めています。
細胞DNA調製装置(左)
化学物質の遺伝子調節蛋白への作用の分析例(右)
繊維状鉱物(セピオライト)による
心膜腫瘍(右)と病理像(左)
アスベストなどの繊維状鉱物は建材として使用され、今なお建造物内に残留しています。それらは粉じんを介して呼吸器に吸入されアスベスト肺を発生させるほか、肺がんや悪性中皮腫など発がんの原因物質ともなります。そこで、どのようなアスベストがいかなる病変を引き起こすかを明らかにするために、ラットの胸腔内に一定品質のアスベストを注入し、肺その他の組織病変を病理学的側面から調べています。また、中皮腫発生のメカニズムを明らかにするために、発がん遺伝子やがん抑制遺伝子の動きを調べ、中皮腫との関連性を分子生物学的側面からも検討しています。
溶接は古くから行われ、現在も産業上不可欠の作業工程といえます。ところが、作業現場が局所的になるために作業管理に適さず、その実態は今なお不明といえます。そこで、まず溶接作業時に発生する金属性粉じんに着目し、溶接ヒュームを採取して含有金属の組成を明らかにするとともに、ラットに吸入し肺その他への影響を検討しています。また、溶接作業従事者の尿中金属濃度を金属ばく露の評価指標として利用できるかについても検討しています。
溶接ヒュームの捕集
電磁場ばく露装置
現代生活において電気は不可欠です。IT革命以降、私たちの日常生活や労働現場においても電磁場にばく露される機会がますます多くなりました。電磁場の生体影響はほとんど無いと考えられていますが、電気機器から発生する電磁場とがんとの関連はまったく否定されたわけではありません。そこで、遺伝子改変動物や特殊な実験動物を長期間電磁場にばく露する感度の高い実験系を用いて、通常私たちが浴びている電磁場が安全であるかどうかを科学的に検討しています。