労働安全衛生総合研究所

補修工事等における屋根・建物からの墜落防止工法及び関連器具について

 昨年(平成23年)発生した東日本大震災では、未曽有の地震や津波により、広範囲にわたり多くの建物が被害を受けた。既にこれらの建物の解体や改修工事が始まっているところであるが、今後も長期にわたって同工事が継続されることが予想される。これらの工事においては屋根等の高所において比較的短期間で終了する補修作業などが行われ、その作業中において、墜落防止措置がなかったために墜落して被災する災害が多く発生しているところである。本来ならば、足場を建物まわりに設け、屋根のまわりに手すり等を確保してから作業を行うことが望ましいが、既設建築物の屋根上等の高所においては、足場などの設備的な墜落防止措置を講ずることが困難な場合が多く、また、設備的な墜落防止措置を講ずる際の墜落・転落等のリスクをも考慮した場合、作業全体でのリスクを低減することにも留意した合理的な安全対策を講ずることが必要であると考えられる。

 このような状況にかんがみ、これらの高所作業における墜落等の労働災害の撲滅を目的として、作業の実態に即した墜落防止器具について検討するため、公益社団法人 日本保安用品協会と独立行政法人 労働安全衛生総合研究所(以下「安衛研」という。)が連携の上、日本保安用品協会内の「日本安全帯研究会」を中心として「屋根・建物からの墜落防止のための検討委員会」を設置した。

 今回の震災に伴う建物等の解体や改修は、今までに経験したことがないような工事量が広範囲において発生することが想定される。加えて、被害を受けた建築物等の復旧は緊急性を伴うこと等から、安全性の高い墜落防止器具等が早急に提供されることが望まれている。そこで本委員会では、緊急性と安全性の両立を念頭に、既存製品を組み合わせることにより、設備的な墜落防止措置を講ずることが困難な屋根等の上での作業においても、簡便かつ有効な墜落防止工法と関連器具を提案することとした。

 なお、本提案は、屋根等の勾配が緩く労働安全衛生規則第518条及び519条に規定する「作業床」とみなせる場合において、屋根・建物の解体や改修工事や除染作業、ソーラーパネルの設置作業等、短期間で終了し屋根の先に手すりや足場を設置するより安全面において合理的であると考えられる場合に適用できるものである。 屋根勾配が6/10以上である場合等、屋根面を作業床としてみなすには不適切な場合には、屋根用足場等の設置を推奨するものである(平成18年2月10日付け基発第0210001号【「足場先行工法に関するガイドライン」の改正について】参照)。

 震災復旧・復興工事に伴う屋根等の改修工事に限らず、除染作業やソーラーパネルの設置作業などの場合において、事業者が使用上の留意点を踏まえた上で、本報告書で提案する墜落防止工法及び関連器具を使用して、屋根上での作業を安全に実施することにより、墜落・転落災害の防止に資することを期待する。

 本報告書が、復旧・復興工事を担う建設業者のみならず高所作業に携わる作業者の方々にとって、安全対策の一助となれば幸いである。


 

報告書全文[PDF:2.8M]    リーフレット[PDF:853KB]


平成26年3月10日付け厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長より「足場の設置が困難な屋根上作業 - 墜落防止のための安全設備設置の作業標準マニュアル」が取りまとめられ、本報告書の内容を改善した報告書が公開されています。

今後、屋根上作業の際にはこちらのサイトの作業標準マニュアルをご利用ください。

—足場の設置が困難な屋根上作業—墜落防止のための安全設備設置の作業標準マニュアル(厚生労働省Webサイトへ)

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