労働安全衛生総合研究所

働く人の健康に関する研究施設の公開(登戸地区)
〜平成28年度一般公開を終えて〜

 登戸地区では、平成28年4月24日(日)13:30から17:00に研究施設の一般公開を開催しました。午前中はあいにくの天気で小雨がぱらつきましたが、幸い公開前には雨も上がり、142名もの方がお越しくださいました。当地区では、例年、小学生の参加が多いのですが、本年度は職場にて労働安全衛生の実務に携わっている方の参加が多かったように思います。
 公開内容は、講演が2件(講演1・2)、施設紹介・体験コーナーが6件、研究紹介のポスター展示が14件でした。講演については、講演後に相談コーナーを設け、講演者に直接質問や相談ができるようにしました。どの会場も多くの方にご来場いただき、盛況のうちに終了することができました。以下には、各公開場所の様子を簡単にご紹介します。

1.講演

 講演1では、「事業場におけるストレスチェックと現在の運用状況〜事例を踏まえて〜」というタイトルで、昨年12月から始まったストレスチェック制度の概要と運用状況についての講演を行いました。講演2では、「化学物質のリスク−見えないものを見つけて、リスク対策−」というタイトルで、今年6月から始まる化学物質のリスクアセスメントの概要と実施方法についての講演を行いました。両内容とも、近年の厚生労働行政の主題であることから、多くの方にご参加いただきました。また、講演後には、多数の方から講演者に質問や相談があり、関心の高さが伺えました。


講演会場(B4会場)

2.施設紹介・体験コーナー

(1)体力を測ってみよう!
 体力の維持・向上は、元気に働くために必要な要因の一つです。ここでは、心肺系体力や筋力などの簡単で安全に測定できる体力テストを体験していただき、体力と循環器系疾患との関係や体力を維持・向上させるための取り組みなどについて解説しました。


体力測定コーナー(A1会場)

(2)微小な物質の電子顕微鏡による観察
 電子顕微鏡室では、粉じんやアスベストなどの微小有害物質の観察方法について紹介するとともに、労働安全衛生における電子顕微鏡観察の役割について説明しました。
 

電子顕微鏡室(B1会場)

(3)粉じんの発生と測定
 粉じん実験室では、工場や工事現場などで発生する粉じんの濃度測定や対策方法を紹介しました。


粉じん実験室(B2会場)

(4)顕微鏡標本から知る細胞の形と役割
 病理実験室では、ディスカッション顕微鏡を用いて、来場者と研究者が一緒になって細胞の組織標本を観察し、細胞の種類や役割、さらには労働安全衛生における組織標本観察の役割について説明しました。


病理実験室 西側(B3会場)

(5)DNA(ディーエヌエー)ってなんだろう?
 病理実験室のもう一角では、細胞の中にあるDNAをどのように取り出していくのか、その原理を説明しながらバナナを題材にDNAの抽出過程を体験していただきました。また、DNAを用いた解析方法について、具体的な応用例をパネルに示しながら説明しました。


病理実験室 東側(B3会場)


(6)あなたの体は振動をどこで感じていますか?
  振動実験室では、全身振動と手腕振動を来場者に体験していただきました。全身振動では、振動の周波数により振動を感じる体の部位が変化してゆくことを実感していただきました。また、手腕振動では、振動発生装置を握っていただき、素手と防振手袋による振動の違いを体感していただきました。


振動実験室(C1会場)


3.ポスター展示

   休憩所を兼ねたポスター展示場には、14件のポスターを展示しました。ポスターの展示内容は、労働安全衛生マネジメントシステムの実践事例や職場での電磁界ばく露の状況、過労死予防への取り組み、震災でのアスベスト飛散状況、産業化学物質の発がん性、熱中症対策、生殖毒性など、当研究所にて取り組んでいる様々な研究について紹介しました。


ポスター展示場(A1会場)


 来場者の方には、毎年、アンケートへのご協力をお願いしております。本年度は、112名の方(回答率78.9%)から回答をいただきました。その内容を簡単にご紹介しますと、来場者は会社員(43%)で技術職の方(29%)が多く、また初めての方(76%)が多くいらっしゃいました。全体的な満足度は、満足(63%)・やや満足(35%)が大半を占め、また感想等の自由記述欄には「楽しかった」、「勉強になった」といったコメントを多くいただきました。今後の要望としては、「具体的な成果事例をもっと説明して欲しい」、「テーマを深く掘り下げて欲しい」といった専門的な要望がある一方で、「体験できるものを増やして欲しい」といった要望もありました。今後は、いただいた多くのコメントを参考に、専門家向けと一般向けの公開内容をどのようにして配分していくのか、また融合させていくのかを検討していく必要があると考えております。
 最後に、本年度の登戸地区一般公開のプログラムを当研究所ホームページにて公開しておりますので、ご興味のある方は下記URLからご覧ください。
http://www.jniosh.go.jp/announce/2016/open2016/pdf/H28noborito_program.pdf

(産業疫学研究グループ 岩切 一幸)


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