労働安全衛生総合研究所

働く人の健康に関する研究施設の公開(登戸地区)
- 平成29年度一般公開を終えて -

1.はじめに

 登戸地区では、平成29年4月23日(日)13:30から17:00に研究施設の一般公開を開催しました。前日はあいにく雨天でしたが、当日は快晴に恵まれ、149名の方がお越しくださいました。従来、当地区の公開では小学生の参加者が多かったのですが、昨年辺りから、企業で労働安全衛生の実務に携わる方々の参加が増加しているように思います。
 公開内容は、講演が2件(講演1・2)、施設紹介・体験コーナーが6件、研究紹介のポスター展示が15題(13名)でした。講演については、講演後に演者と来場者の間で質問や相談ができるように、講演時刻にゆとりをもたせました。どの会場にも多くの方々にご来場いただき、盛況のうちに終了することができました。以下、各公開場所の様子を簡単にご紹介します。

2.講演

 講演1では、「近未来を見据えた働く人の疲労問題とその対策を考える」という演題で、近未来に生じ得る働き方、暮らし方の変化と、それに関連して起こる働く人々の疲労の問題と対策についての講演を行いました。講演2では、「職場環境改善と健康的な職場づくり」というタイトルで、過重労働やストレスなど健康に悪影響を及ぼすリスクに対して積極的な励行が推奨される職場環境改善とその具体的な取り組み法、および健康的な職場づくりの実際についての講演を行いました。両内容とも、喫緊の厚生労働行政の重要課題であることから、多くの方にご参加いただきました。また、講演後にはご来場の方から講演者に質問が寄せられ、講演内容への関心の高さが感じられました。


講演会場(B4会場)

3.施設紹介・体験コーナー

(1)体力を測ってみよう!
最近は「座位時間」の長いことが新たな職業性有害因子となることを示す研究報告が増えています。座位時間が長く、身体活動が不活発な労働者は、心臓系の体力が著しく衰えている場合が少なくありません。体力と疾患発症には密接な関係のあることが分かっています。ここでは、簡単で安全に測定できる体力テストを体験していただきました。


体力測定コーナー(A1会場)

(2)電子顕微鏡による微小な物質の観察
 電子顕微鏡室では、粉じんやアスベストなどの微小な有害物質を、電子顕微鏡を用いて観察・計測する方法について紹介し、労働衛生分野における電子顕微鏡観察の重要性について説明しました。


電子顕微鏡室(B1会場)

(3)粉じんの発生と測定
 工場や工事現場等で発生する粉じんの濃度測定や対策方法を紹介し、併せて粉状の化学物質取扱作業の再現も行いました。


粉じん実験室(B2会場)

(4)顕微鏡標本から知る細胞の形と役割
 病理実験室では、ディスカッション顕微鏡を用いて、来場者と研究者が一緒になって細胞の組織標本を観察し、細胞の種類や役割、さらには労働衛生における組織標本観察の役割について説明しました。


病理実験室 西側(B3会場)

(5)DNA(ディーエヌエー)ってなんだろう?
 病理実験室(東側)では、細胞の中にある核酸であるDNAをどのように取り出していくのか、その原理を説明しながらバナナを材料してDNAの抽出過程を体験していただきました。また、DNAを用いた解析方法について、具体的な応用例を図示し説明しました。


病理実験室 東側(B3会場)


(6)あなたの体は振動をどこで感じていますか?
  振動実験室では、全身振動と手腕振動を来場者に体験していただきました。全身振動では、振動の周波数により振動を感じる体の部位が変化してゆくことを実感していただきました。また、手腕振動では、振動発生装置を握っていただき、素手と防振手袋を着用した場合とで振動がどの様に違うのかを体感していただきました。


振動実験室(C1会場)


4.ポスター展示

   休憩所を兼ねたポスター展示場には、15題のポスターを展示しました。展示内容は、過労死等調査研究センターの役割、東日本大震災後のがれき処理作業におけるアスベスト飛散状況、作業環境測定における芳香族アミンの安定性、熱中症対策、生殖毒性など、当研究所で取り組んでいる様々な研究について紹介しました。


ポスター展示場(A1会場)


5.おわりに

 来場者の方には、毎年、アンケートへのご協力をお願いしております。本年度は、102名の方(回答率68%)から回答をいただきました。アンケートの結果によると、来場者は会社員(49%)で技術職(27%)が多く、また初めての方(70%)が多くいらっしゃいました。全体的な満足度は、満足(68%)・やや満足(20%)が大半を占め、また感想等の自由記述欄には「わかりやすかった」、「丁寧に説明してくれた」、「実験が面白かった」、「講演がわかりやすかった」といったコメントを多くいただきました。今後の課題としては、「一般企業の人事部で何ができるかなど具体的なアドバイスが欲しかった」、「ストレスチェック制度の運用、活用例を教えてほしい」といった専門的な要望がある一方で、「子供には内容が難しい」といった要望もありました。いただいた多くのコメントを参考に、今後は専門家と一般の方を有機的につなぐ情報発信をしていきたいと考えております。
本年度の登戸地区一般公開のプログラムを当研究所ホームページにて公開しておりますので、ご興味のある方は下記URLでご覧ください。
http://www.jniosh.go.jp/announce/2017/open20176/pdf/H29noborito_program.pdf

(研究推進・国際センター 小林健一)


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