特別研究報告 SRR-No.36 の抄録 | 労働安全衛生総合研究所

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特別研究報告 SRR-No.36 の抄録

人間・機械協調型作業システムの基礎的安全技術に関する研究(最終報告)

人間共存型ロボットの安全なトルク制御のための磁気粘性流体を用いたノーマルク ローズ型クラッチの開発

SRR-No36-02
齋藤剛,池田博康
 汎用性が高く一般的な垂直多関節ロボットが人と協調して運搬作業を行う場合,ロボットの関節軸には,トルク出力の制限と非常停止時の保持トルクの確保を両立する安全デバイスが必要となる。本研究では,人間共存型ロボットの関節軸に必須の安全条件を明らかにし,これを達成するデバイスとして,可変トルクリミッタ及び保持ブレーキとして機能する希土類永久磁石と磁気粘性流体(MR流体)を用いたノーマルクローズ型(NC型)クラッチを開発した。実際のロボットに適用可能なオーダーの伝達/保持トルクを得る設計として,MR流体にかかる磁場が効率的に生成されるように対向する磁極を非対称に配置し,さらに,ロータを多板化することで本体の大型化を抑えつつトルク伝達面積を増加させた。試作したNC型MRクラッチを用いた実験結果とシミュレーション結果との比較から,所用の基本制御性能が実現されていることを確認すると共に,保護装置としての安全性能を評価した。
(図9,写真2,参考文献15)

人間と機械が混在する場での移動体検出手法と画像センサ正常性確認手段の検討

SRR-No36-03
濱島京子
 人間と機械が混在する場での移動体検出では,人が存在しているにもかかわらず誤って存在していないと判定するなどの危険側誤りが問題となる.そこで,画像処理技術を利用して移動体検出を行う際に問題となりやすい危険側の検出漏れを考慮し,検知対象物体の色や形状などの幾何学的特徴を使用せずに物体の存在領域を検出する方法として,視体積交差法による検出手法を開発した.さらに,センサ配置と対象物体の位置関係に応じた存在領域形状を調べ,その特徴を明らかにすると共に,本手法における適切なセンサ使用台数および配置方法を提案した.加えて,画像センサの機能正常性を確認するため,リファレンスパタン光と監視光を時分割で入力し,安全確認と正常性確認を交互に実行する方法を提案した.さらに,リファレンスパタン光と監視光とを干渉させ,パタンの規則性を評価することで,物体の不在を検出できる可能性があることを示唆した。
(図24,表2,参考文献12)

ジェスチャー認識を利用した移動ロボットとのコミュニケーション手段の提案 - 誤認識リスクを低減するための設計手法

SRR-No36-04
呂健,姜偉
 ジェスチャー認識を利用して移動ロボットとコミュニケーションを行なう場合,ジェスチャーの誤認識に起因して災害が発生するおそれがある。そこで,誤認識を減少するジェスチャー認識システムの設計手法を検討した。この手法では,ジェスチャーの誤認識の減少に繋がる手法を基本設計,機能設計及びパラメータ設計の3ステップに分けて検討した。このうち,基本設計では本論文で提案する簡単化原理が有効と考えられる。また,機能設計及びパラメータ設計では,ジェスチャーの数値化モデル及びジェスチャー間距離モデル(GDMと呼ぶ)が有効と考えられる。
(図7,表1,参考文献7)

危険点近接作業の災害防止戦略に関する基礎的考察 - 危険点近接作業の災害防止条件の解明と木材加工用機械への適用

SRR-No36-05
清水尚憲,梅崎重夫
 機械作業の中には,作業者が機械の可動部を停止させずに,可動部に近接した状態で行う危険点近接作業がある。この作業に関連した労働災害(事故の型が「挟まれ・巻き込まれ」と「激突され」に限る)は,産業機械による死亡労働災害の44%を占めている。したがって,この作業に対する適切なリスク低減戦略を確立できれば,労働災害の大幅な減少が期待できる。このため,本研究では,危険点近接作業を対象に災害防止条件の解明を進めた。その結果,危険点近接作業の災害防止条件には,可動部の移動速度の抑制(区分3a)と人体の移動速度の抑制(区分3b)の2種類があることが判明した。このうち,本論文では,区分3bに該当する方策の例として,丸のこ盤で行なう作業を対象とした保護装置の開発を進めた。具体的には,回転式の接触防止ガードと,RFID技術を活用した人体検知装置を新たに考案することによって,従来では困難であった丸のこ盤の保護方策の実現を可能とした。
(図7,表3, 写真2,参考文献9)


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