労働安全衛生総合研究所

技術指針 TR-71 の抄録

安全ネット指針

TR-71-1

緒言

 建設業,造船業など高所作業を伴う業種における墜落災害は,全死亡災害の中の30〜40%を占めている。また建設業を例にとり,災害の致死率(死亡件数と休業8日以上の災害件数の比)をみると,墜落災害が1/28であるのに対し,他災害が1/49となるように,墜落災害の致死率はかなり高い。

 このように墜落災害は,極めて重篤な労働災害であって,その防止対策の樹立は夙に叫ばれているところである。

 さて,墜落防止対策といっても,高所作業の少ない工程を選ぶといった抜本的なものから,足場,手摺の設置,命綱,安全ネットの使用など種々あるが,このうちで安全ネットの使用は,この数年問に急速に普及してきたもので,命綱の使用に比べてつぎのようなメリットがある。すなわち,作業者個々の行動を阻害しないこと,さらに,その購入,使用計画,廃棄などが元請けのような組織体で行なわれるため管理の徹底化が図られやすいこと等である。

 しかし一方では,未だ歴史が浅く,その構造的な基準も使用上の指針もない現在,性能面で不安の残る製品,あるいはネットの機能を十分に生かしていない使用法等が散見される状況である。

 このような状況に鑑み,また行政当局よりの要請もあり,今回,これまでの当所における調査ならびに実験的研究をもとに,安全ネットの具備すべき構造上,強度上の要件ならびに使用上の注意点等を内容とした技術指針を作成することになった次第である。なおその内容については,委員会を設けてユーザー,メーカーの意見をも聴取したことも附言しておく

 さて,本指針は,構造等基準と使用基準とからなる本文と,それらの解説から成っている。解説には,本文を決定するに至った経緯,根拠等を詳述してあるので,本文を適用するにあたっては,ぜひ解説を参照されることを期待したい。

 なお本指針では,複合ネット,大型ネット,無結節ネット等については,十分に触れていないが,これらのネットの使用が盛んになることも予想されるので,今後の実験研究を俟って,将来不十分な点を補追してゆきたい考えである。


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