労働安全衛生総合研究所

技術指針 TR-74 の抄録

工場電気設備防爆指針 −ガス蒸気防爆 1974 −

TR-74-1

 当研究所においては,可燃性ガス叉は引火性液体により引火爆発の危険がある場所に設置する電気設備の安全性の向上を図るために,昭和29年6月,日本電機工業会,日本電設工業会及び日本化学工業協会の協力を得て,工場電気設備防爆委員会を組織し,その審議を経て,昭和30年10月,工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆)を制定発表した。以来引続き研究及び委員会活動を継続し,昭和36年1月,昭和40年11月及び昭和45年10月に指針の全面的改正を行い,更に昭和47年10月に一部修正を行なった。

 この間,防爆指針は,我が国工場における防爆電気設備に関する唯一の技術指針として広く活用され,JIS規格及び関係法令の制定に際しては,そのよりどころとして使用されている。

 その後も引続き防爆電気設備に関する内外の動向について検討を加え,指針の全面的改正を行なうこととし,社団法人 産業安全研究協会の積極的な協力を得,同会の関係研究委員会において改正案について実質的な審議を進めてきた。こごに漸く一応の成案を得たので,これを工場電気設備防爆委員会に諮って指針として制定し,発表する次第である。

 今回の改正の重点としては,第1に防爆電気設備を計画する場合に実際に役立つように,基本的考え方,設置場所の危険度の検討及び機器の選定に関する指針を整備した。

 第2に本質安全防爆関係の配線工事の指針を整備するとともに,電気機器を設置して配線し,試運転調整を行なうまでの指針を追加した。

 第3に内圧防爆構造及び本質安全防爆構造について指針の内容を整備するとともに,新たにスペースヒータ,ガス分析計及びガス警報器用検知部に関する指針を追加した。

 第4には,防爆性の保持に極めて重要な保守に関する指針を新たに追加することにした。ただし,今回は基本的な考え方と主な点検項目を例示したに過ぎないが,今後逐次その内容を整備する予定である。

 爆発災害防止が重要な課題として各方面から強く要請されている現状に鑑み,この指針が,爆発危険場所における電気設備の安全性の向上に活用されるとともに,進んで爆発災害の要因の検出制御等に最新の電気技術を活用するための一助ともなれば幸いである。

 最後に,今回の指針改正にあたり絶大な御協力を頂いた委員各位並びに関係協会に対し深く感謝の意を表する。

昭和49年4月1日  労働省産業安全研究所  所長  上月 三郎


絶縁トロリー構造基準、絶縁トロリー安全指針

TR-74-2

まえがき

 走行クレーンなどの移動機器に電気を供給するためには,ケーブルまたは接触電線(トロリー線)が用いられる。このうち,トロリー線には従来裸電線が用いられることが多かったので,これに触れて感電する災害が跡を絶たず,毎年かなりの犠牲者が発生している。

 裸トロリー線から感電災害を防止するためには,隔壁を設けたり,離隔距離をとるなどの方法があるが,最も確実なのはトロリーバスダクトまたは絶縁トロリーを用いることである。当研究所においては絶縁トロリーについて調査研究を進めてきたが,その普及を図るためには,その構造基準および使用上の安全指針を定めることが必要である。

 そこで,社団法人産業安全研究協会内に設置された後記委員会において審議を重ね。一応の成案を得たので,これを当研究所の技術指針として公表する。

 クレーン等安全規則では,トロリー線として裸電線を使用する場合に,感電防止のため施行上の制限を定めているが,絶縁覆いが設けられている場合は,その制限を適用しないことになっている。しかし,絶縁覆いを設けたトロリー線についての構造上の基準が示されていないのでこの指針が推奨基準として関係者に十分活用されることを希望する。

 終りに,この指針の審議に御協力下さった委員諸氏に深く感謝の意を表します。


刊行物・報告書等 研究成果一覧