労働安全衛生総合研究所

技術指針 TR-82 の抄録

工場電気設備防爆指針 −粉じん防爆 1982−

TR-82-1

 工場電気設備防爆指針(粉じん防爆1961)は,昭和36年1月に制定公表され,その後昭和47年に一部修正が行われた。

 昭和44年4月以降の防爆電気機器に対する検定の実施に伴ない,機器の防じん性能などに関する試験方法の確立が重要課題となると共に,指針の一層の整備充実を図る必要が生じ,指針全般を通じて内容の整備が検討審議され,昭和51年10月に全面的な改正が行われて今日に至ったものである。

 しかしながら,この間昭和54年に工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆)の大改正が行われたため,この改正に関連して粉じん防爆の指針についても内容の一部修正を図る必要が生じ,社団法人産業安全技術協会の協力を得て,修正案の審議を進めてきた。このたび,成案の答申を得たので,これを当所の工場電気設備防爆委員会に諮って新しい指針として発表することにしたものである。

 新・防爆指針は,電気機器の防爆構造についての内容を国際規格と整合させることに主眼を置いたが,内圧防爆構造の一部など今後の検討課題としたものもある。

 今回の主要な修正事項は,次のとおりである。

  1. 防爆構造の名称
    電気機械器具防爆構造規格(労働省告示)の今後の改正方針を考慮し,次のように改めた。
    • 粉じん防爆特殊防じん構造 => 特殊防じん防爆構造
    • 粉じん防爆普通防じん構造 => 普通防じん防爆構造
    • 粉じん防爆特殊構造 =>  粉じん特殊防爆構造
  2. 電気配線の粉じん防爆
    一般事項,防爆性の保持及び環境に対する配慮を追加し,低圧配線,高圧配線及び地気保護の内容を整備した。
  3. 電気機器の粉じん防爆構造
    温度上昇限度,絶縁空間距離及び沿面距離の内容を整備し,また,照明器具,電池付携帯電灯,表示灯,差込接続器,電線管用附属品などの内容について整備した。
  4. 粉じん防爆電気設備の保守
    用語の意味を追加し,構成の変更,内容の整備などを行った。
  5. 附属書及び参考資料
    附属書に絶縁空間距離及び沿面距離に関する事項を設け,参考資料にケーブルの直線接続用接続器を追加した。

 最後に,今次の審議にあたり,絶大なる御協力を賜わった産業安全技術協会,その他の関係協会,団体及び委員各位に対して,深く感謝の意を表します。

昭和57年10月  労働省産業安全研究所  所長  川口 邦供


アセチレンガス溶接作業用乾式安全器技術指針

TR-82-2

 アセチレン−酸素を用いる溶接・溶断作業は各種産業において広く行われており、これらの作業に伴う爆発・火災等の災害も発生しているが、なかでもアセチレン流路への酸素の逆流に起因する逆火事故の多発が報告されている。逆火事故は、単にホースの焼損のみに止まらず、調整器類の破損・飛散、噴出火炎による火傷・火災、流出アセチレンの爆発、アセチレン容器の破裂など、重大な災害へ発展する要素を含んでいる。

 労働安全衛生規則では、発生器から供給されるアセチレンの流路にはいわゆる水封安全器の設置を義務づけているが、近年著しい普及を見るに至った溶解アセチレン(単びん)を用いる場合については定めがなく、一方、実際には単びんを用いての作業が大多数を占めることもあって、こうした作業に際しての逆火事故の防止対策の必要性が痛感されていたところである。最近、単びんを用いての溶接・溶断に際しての逆火の防止を目的とした乾式の安全器の開発がすすみ、既に相当数のものが市販されており、一部の地方自治体ではこうした乾式安全器を使用するよう行政指導を行っているが、乾式安全器の構造、性能試験の方法、使用方法等についての考え方が統一されていないため、乾式安全器への過信や粗悪品の出回ることが懸念されるほか、使用普及を指導するに際しても支障があるように思える。

 こうした事情に鑑み、当研究所は社団法人産業安全技術協会に乾式安全器の構造、試験方法等に関する基準の作成を依頼し、これをもとに補足検討を加え、技術指針として公表することとした。この指針は、同協会に設けられた乾式安全器技術研究委員会において技術的及び実用的見地から充分に検討を重ね、また、現在ISO(国際標準化機構)において制定がすすめられている「溶接等の作業用の安全装置」の国際規格をも考慮に入れ、更には関連業界や地方自治体等の意見を参考とした上で得られた成案をもととしたものであり、国内事情はもとより国際的にも充分に対応できる内容のものであると考える。御協力頂いた各位に深甚の謝意を表するとともに、この指針が関係方面において自主基準として有効に活用され、災害防止の一助となることを切に願ってやまない。

昭和58年1月10日  労働省産業安全研究所  所長  川口 邦供


静電気用品構造基準

TR-82-3

 昨今における高分子化学の発達,生産工程の近代化等に伴い,工場・事業場では静電気が原因となって爆発・火災のような産業災害がしばしば発生している。特に1981年10月16日北炭夕張新炭鉱で発生したガス突出災害は,93名の死亡者を含み132名に及ぶ多くの犠牲者を出すに至ったのも,2次災害として静電気によるガス爆発が発生したことによるものである。

 また,最近は静電気がLSI,ICあるいはこれらが使用されているエレクトロニクス機器の故障,誤作動等を引き起こし,時にはそれが災害へと進展する例も見られる。

 産業安全研究所では,これらの静電気災害を未然に防止するため,1978年10月に静電気安全指針を発表し,その中に帯電防止作業服,除電器等,静電気災害を防止するために使用される用品の構造基準を附属書として示した。この構造基準は,当時は内外でもこの種の基準ができていなかったため,広く活用され,一部は日本工業標準規格としても採択されたところである。

 ここに発表する静電気用品構造基準(以下,用品基準と略称)も,上記の静電気安全指針の附属書を基礎に,その後の研究成果,技術の進歩に合わせて,静電気災害防止のために使用される各種用品についてとりまとめたものである。この用品基準は,社団法人産業安全技術協会へ静電気安全指針の改訂協力を依頼し,その附属書の改訂として審議されたもので,近い将来には,静電気安全指針の中に組み込まれるが,答申を得たのでここに当研究所の技術指針として発表する次第である。本指針を活用することによって,より良い用品の製造,使用とともに産業災害防止に役立てていただくことを切望して止まない。

昭和58年2月25日  労働省産業安全研究所  所長  川口 邦供


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