技術指針 TR-No.35 の抄録 | 労働安全衛生総合研究所

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技術指針 TR-No.35 の抄録

安全帯構造指針

TR-No.35

まえがき

 当研究所が昭和52年に発表した安全帯の技術指針は、墜落災害防止のために必要とする安全帯の安全性に関する指針としてユーザ、メーカ及び関係方面に広く活用されてきたところである。

 しかし、その後の技術の進歩に伴う新しい材料の使用、新しい構造の安全帯の開発、また、安全帯以外の墜落災害防止用器具の開発等により、従来の指針では評価が困難な安全帯や、指針の枠を越えた安全帯関連器具が市場に出回っている現状にある。

 一方、ISO 9000や14000に代表されるように、近年、技術のグローバル化が急速に図られており、安全帯においても早急に外国規格との整合を図らなければならない状況となっている。

 このような情勢に対処するため、当研究所では制定以来十数年を経過した指針を見直し、国際整合性を有する新しい安全帯の技術指針に改めることになり、平成6年9月、(社)産業安全技術協会にその改訂原案作成を委託した。同協会では内部に安全帯技術指針改訂原案作成委員会を設け、十数回に及ぶ委員会の審議の結果、改訂原案の成案を得るに至り、今般その答申を得たので、ここに改訂した産業安全研究所技術指針の安全帯構造指針及び解説として発表するものである。

 今回の改訂にあたり特に問題となった点は、安全帯の安全性能上長も重要な衝撃吸収性能に影響する試験用落下体の重さと衝撃荷重規定値を、海外規格との整合性を考慮して修正することであった。特に落下体の重さについては、近年の日本人の体位向上に伴う体重増加を考慮することが必要であり、これら2つの要件は安全帯の性能を決めるうえで基本的なことであるため、その決定には委員会の当初において長時間の審議を要した。

 今回の指針で大きく変わった点は、これまでの規格でA種からE種の5種類に分けられていた安全帯をすべて1種としてまとめ、ISOやANSIに採用されているハーネス形の安全帯を2種として位置付け、これまで諸外国でも規格化されていなかったビルの窓拭き作業用安全帯及び傾斜面作業用安全帯を3種として採用したことである。また、改正に当たり安全帯関連器具として、昇降時における墜落阻止器具の親綱式スライドと固定ガイド式スライド、垂直方向に移動する作業に使用するリトラクタ式墜落阻止器具などを採り入れたことである。これらの中には今回初めて指針の中に採り入れられたものもあり、使用に関する実態の把握がまだ不十分であるところから安全帯等使用指針の作成は今回は見送ることになった。

 墜落災害は、死亡危険性の非常に高い災害である。本指針の活用により各種類の作業現場に最も適した安全性の優れた安全帯及び関連器具が使用され、墜落災害防止に役立つことを期するものである。

 最後に、本指針の改訂原案作成にあたり、多大なご協力を賜った(社)産業安全技術協会及び重点各位に対し、深く感謝の意を表します。

平成11年1月11日  労働省産業安全研究所  所長 田畠 泰幸 


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