労働安全衛生総合研究所

技術指針 TR-No.43 の抄録

工場電気設備防爆指針 (国際規格に整合した技術指針)−2008−

TR-No.43

 当研究所においては、可燃性ガス又は引火性液体により引火爆発の危険がある場所に設置する電気設備の安全性の向上を図るため、工業会、使用者、学識経験者等の各界の専門家の協力を得て昭和30年以降、「工場電気設備防爆指針(以下、防爆指針という。)」を刊行している。防爆指針は電気機械器具防爆構造規格(昭和44年労働省告示第16号)の参考資料となる国内唯一の技術的な指針として、JISの防爆関連規格、船舶の防爆規格あるいは電気事業法、消防関連の関係法規の制定に際し、そのよりどころとして広く活用されてきた。

 昭和63年には、国際基準への整合化の一環として、電気機械器具防爆構造規格(以下、構造規格という。)第4条及び第5条の規定が整備され「電気機械器具防爆構造規格(昭和44年労働省告示第16号)における可燃性ガス又は引火性の物の蒸気に係る防爆構造の規格に適合する電気機械器具と同等以上の防爆性能を有するものの技術的基準(IEC規格79関係)(以下、「技術的基準」という。)」が制定された。これにより、防爆構造電気機械器具に関する規格は、従来の構造規格によるものに加え、構造規格の第5条を適用したものが示された。当研究所はその後の防爆電気設備関連技術の進歩や、国際規格の改定等に対応して、平成18年には従来の構造規格対応「ガス蒸気防爆2006」及び技術的基準対応「国際規格に整合した技術的基準対応2006」を刊行したところである。

 本防爆指針は、平成20年3月の構造規格の改正により新たに「樹脂充てん防爆構造」及び「非点火防爆構造」が規定され10月から適用されることになったことから、従来の防爆構造についても国内の使用環境、関係法令などを考慮し、最新のIEC規格に整合した指針となることを目指して、「工場電気設備防爆指針(国際規格に整合した技術的基準対応2006)」を改訂し、新たに「工場電気設備防爆指針(国際規格に整合した技術指針2008)」として刊行するものである。

 本指針は、第1章 総則、第2章 耐圧防爆構造、第3章 内圧防爆構造、第4章 安全増防爆構造、第5章 油入防爆構造、第6章 本質安全防爆構造、並びに参考として、第S1章 樹脂充てん防爆構造、第S2章 非点火防爆構造から構成されている。なお、S1章及びS2章については別紙「参考」の趣旨を参照いただきたい。

 改訂に当たっては、当研究所の目的である「労働者の安全と健康の確保」の観点から使用環境、関係法令等の日本の状況を考慮した技術指針となることを第一義とし、工業会、使用者、学識経験者等の各界の専門家からなる委員会における審議を通じた防爆指針原案の作成を社団法人産業安全技術協会に委託し、ここに成案を得た。

 本指針の原案作成審議に当たり、多大なご協力をいただいた工場電気設備防爆指針改定審議委員会、防爆構造・試験検討委員会の各位及び産業安全技術協会の関係各位並びに関係機関、団体に対して、ここに改めて深甚の謝意を表す。


    平成20年12月 1日

独立行政法人労働安全衛生総合研究所
理事長 荒記俊一

参考

 第S1章、第S2章は、平成20年3月13日厚生労働省告示第88号「電気機械器具防爆構造規格及び昭和47年労働省告示第77号の一部を改正する告示」により電気機械器具防爆構造規格に新たに規定された「樹脂充てん防爆構造」、「非点火防爆構造」に関する記述である。

 第S1章「樹脂充てん防爆構造」はIEC 60079-18 : 2004, Electrical apparatus for explosive gas atmospheres - Part 18 : Construction, test and marking of type of protection encapsulation “m” electrical apparatus (MOD)を基本に、第S2章「非点火防爆構造」はIEC 60079-15 : 2005, Electrical apparatus for explosive gas atmospheres - Part 15 : Construction, test and marking of type of protection “n” electrical apparatus (MOD)を基本に編集されている。

 本技術指針は、構造規格第5条に基づき構造規格の第2章(第6節から第8節を除く)及び第4章(耐圧、内圧、安全増、油入及び本質安全の各防爆構造)に規定する規格に適合しない電気機械器具のうち、国際規格に基づき製造されたものについて、規格に適合する電気機械器具と同等以上の防爆性能を有することを確認するため技術的に参考とされる資料を目指して作成したものであり、構造規格本文(第2章第6節及び第7節)に規定された「樹脂充てん防爆構造」、「非点火防爆構造」については本技術指針の対象ではない。

 しかし、製造者、使用者、一般の利用者に配慮し、構造規格及び施行通達(平成20年9月25日付け基発第0925001号 「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行及び電気機械器具防爆構造規格及び昭和47年労働省告示第77号の一部を改正する告示の適用について」)を補完するために、前述のIEC規格の内容を参考として本技術指針に掲載することにした。IEC 60079-18及びIEC 60079-15においては、IEC 60079-0 : 1998 (Electrical apparatus for explosive gas atmospheres - Part 0 : General - requirements)を引用しているため、第S1章及び第S2章においても、本技術指針総則と関連づけた記述としている。

 本指針を利用されるときには、上記のことを十分考慮して利用されることを望む。


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